ミナミの帝王2 『ワルの会社設立法』解説

こんにちは。
前回に引き続き次ミナミの帝王の解説です。ストーリー等は最低限記しながら法律のことを書いていきます。

命の次に大切なお金のことを学んでいざというときのために備えましょう。

「株主有限責任の原則」とは?

銀次郎から1000万円を借りたうえでその会社(モーニング企画)を倒産させた浅田。
銀次郎はとりあえず貸した1000万円を回収するために浅田の身柄を確保しに行きます。

すると浅田は早速次の会社(アフタヌーン企画)を興していました。

そのことから銀次郎は浅田が計画的にモーニング企画を倒産させたと考え、とにかく自分の貸した1000万円だけは返してほしいと説得。
しかし浅田は「株主有限責任の原則があるから払わなくてよい」と。

さて、ここで出てきた株主有限責任とはどういう意味なのでしょうか。

 

株主有限責任の原則とは簡単に言うと株主には「出資額以上の責任はない」という意味です。
つまりいくら会社の利益が出ていないから借金したとしてもその負債分を株主は支払う必要がはありません。

 

そのため浅田の場合株主から融資された金額は800万円なので、800万円以上支払う責任が浅田にはないということです。
(しかし社長と大口株主を兼任しているのであれば、恐らく個人名義で借金をした浅田は負債分を個人として支払わなければいけないはず…)
そしてその800万円を債権者(お金を貸している側)で貸し口が多い割合で分配します。そうすると銀次郎の手には1000万円はおろか数万円しか残らない場合もあるというわけです。

この株主有限責任の原則は会社法104条に書かれています。

株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。(会社法104条より)

※作中では商法200条となっていますが今では改定されました。

これを「有限責任」と呼びます。
そのため、浅田のように会社が倒産したとしても、その会社の株は価値を失うだけで株主はその負債を負う必要は全く無いというわけです。

このことが銀次郎が言った「株式会社ほど無責任な会社は無い」という意味なんです。

実印があればできること

浅田に馬鹿にされた銀次郎。なんとしてでも浅田から貸し付けた1000万円を回収しようと躍起になります。
その方法として口にしたのが『実印を手に入れる』ということ。

実印とは何か、実印を手に入れれば何ができるか。次は実印について紐解いていきます。

実印とは?

実印とは自身が住民として登録をしている各市区町村の役所に戸籍上の名前で作られた印鑑を登録申請し受理されたものです。
簡単に言うと役場などに提出する際の公正証書の作成や住宅や車の購入といった重要な契約ごとの際に使用される、法律上、社会上の権利・義務の発生を伴うものです。

実印が効力を発揮するのは偽造などのリスクをなくすために、その印鑑が正真正銘本人のものであることを証明するための「実印証明書」があるときのみです。

変な話、100円ショップで購入した印鑑でも実印として登録を刷ることができます。押印されたものが本人の意思をもって押されたかどうかを知るために用意された証書が実印証明書なので、実印と実印証明書は二つで一つのものです。

つまり実印とはあなたの分身のようなもの、実印が押されていればあなたの意志の下で同意されたと認識されるわけです。

実印があれば何でもできる

あなたの分身ともいえる実印。実印さへ手に入れば何でもできるという言葉はまんざら嘘ではありません。

例えば…

  • 借金の連帯保証人にされる
  • 車や不動産をローンを組んで購入させられる
  • 勝手に会社を興し、法外な契約書を組まされる

などです。

こんなにもたくさんのことが簡単にできてしまうものが実印であるから銀次郎はなんとしてでも浅田から1000万円を回収するために実印を手に入れたかったのですね。

【銀次郎式】だれでも簡単にできる他人の実印の手に入れ方

舎弟となった竜一が実印を窃盗しそうになったため、それでは刑務所にぶち込まれるというい判断から実印を法の網をくぐって手に入れる方法を銀次郎が教えてくれています。
その際に銀次郎がやったことを簡単にSTEPごとに説明していきます。

  • STEP.1
    転出証明書を入手
    住民異動届を現住所の区役所に提出します。
    すると現住所から転出証明書が発行され、法の下では浅田は現住所からの存在が抹消されます。
  • STEP.2
    転入証明書を入手
    新住所の区役所に行き住民異動届を提出します。すると、そちらの住所が公的役割を持つ住所として登録されます。
  • STEP.3
    新住所で実印登録
    新住所の区役所で持参した印鑑を実印登録します。その際、本人証明書が必要です(当時はその区内に住んでいる者が保障人となればよい、とされていました)。
  • STEP.5
    実印登録完了!
    おつかれさまでした。めでたくあなたの持参した印鑑が浅田の実印として公的効力を持ちました。

今では市区町村にもよりますが基本的に顔つきの本人確認書類が必要となっています。
しかし、調べてみたところ実印登録には保証人+保険証でもよい場所もあるようです。

このような過程を踏んで銀次郎は無事に法の穴をくぐって浅田の実印を見事手に入れてしまいました。

地方銀行で空手形ができたワケ

今回の話(ワルの会社設立法)で一番のミソとなっていたのが銀次郎が浅田名義の空手形を入手したことです。有限会社の設立は数万円があればだれでも行うことができます。それを利用して銀次郎はまず初めに「有限会社アサダ企画」を立ち上げました。

そして、使えそうな銀行である地方銀行に赴きました。

地方銀行(地銀)とは?

地方銀行(地銀)とは簡潔に言うと地域密着型で地域のための銀行のことです。

大手銀行とは異なり特定の地域に限り営業活動を行っているため、その地域の有力企業や不動産と繋がりを持っていたりと地方経済を潤すために大きな影響力を持っています。

しかし、今では(ミナミの帝王当時も)都市銀行が地方に進出してきたため地方銀行の存続すらも危ぶまれています。

そのためどの地方銀行も融資するための金をまずは獲得するために預金獲得に躍起になっているわけです。

そんな背に腹は代えられない銀行では多少は融通が利くのではと銀次郎は考え、目を付けたわけです。

手形とは

手形とは一定の期間後に支払うことを約束して発行するものです。
小切手と同じく取引時に多額の現金を持ち歩くのが不便なため、それを防ぐために現金化することができる権限を持つ紙であることに差はありません。

しかし小切手の発行時に当座預金に発行するだけの現金が入っている必要があるのに対し、手持ちにその金額が無くても発行することができるのが手形の特徴です。

支払いを手形にて受けた場合、それを銀行にもっていけば現金として引き落とすことができます。

そんな命の次に大切なお金を扱う紙である手形なので銀行の発行時には細心の注意を払わなければいけません。

そのため普通であれば取引先の会社を訪問してからでないと手形を発行してはいけないことになっています。

しかし、預金口座獲得に躍起になっている地方銀行では1000万円を定期預金で預けた銀次郎のような良い客を手放したくない、嫌われたくないとういう発想から銀次郎に言われるままに手形帳を発行してしまったわけです。

不渡りになると…

銀次郎が浅田名義で発行した手形ですが、銀次郎が定期預金として預けた分を全て回収したため口座には預金はありません。

そのため浅田名義の手形でいくら大きな契約をしたとしても支払うことができず、不渡り(支払う能力を失う)ことになります。

そんなわけありの手形なんて誰も受け取りたくないですよね?

なので、銀次郎は危険な手形を安価(銀次郎がもともと貸し付けた1000万円+利息200万円)でヤクザに売り切ったわけです。

善意の第三者とは?

浅田の下に来たヤクザの取り立てに対して浅田は「お前ら(銀次郎とヤクザ)グルか。裁判所でやりあおう」といいます。

しかしヤクザが「わしらは善意の第三者だからそれは通じない」と言います。

ここで出てきた「善意の第三者」とはどういう意味でしょうか。

善意の第三者とはある特定の行動や事情を知らない第三者という意味です。
今回の場合、悪いことをした銀次郎のやったことの内情を第三者であるヤクザが知らないので、正当に手形ぶんの金を請求できるということです。

まぁ実際にはヤクザ達は銀次郎がやったことは知っているのですけれど、そのことを立証することは極めて難しいといわれています。

まとめ

その後浅田と銀次郎がどうなったのかは是非漫画本編で楽しんでください。
今回の話(ワルの会社設立法)での教訓は

  • 株式会社とのやり取りには気をつけろ!
  • 実印は絶対に無くすな!
  • 金を濡れ手で粟のように掴むことはできないからな!

と、いうことですね。

それではまた。

 

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