ミナミの帝王1 十一の銀次郎解説

ミナミの帝王1巻の最初の話『十一の銀次郎』の作中に出てきた法律用語や法律の仕組みを解説します。

これを読んで自分の身を自分で守る大切さを身につけましょう。

「十一(といち)」とは?

そもそも十一とはどういう意味なのかご存知ですか?
恐らくミナミの帝王を読んだことがある人なら分かるかと思うのですっとばしてもらって構いません。

十一(といち)とは「十日で一割の利息がつく」ということ。
つまり、100万円を借りたときには10日間返済が無いと1割(10万円)の利息をつけるよということです。

そして銀次郎からお金を借りた10日後の返済日には借りた人は100万円に1割の利息分の10万円を加えた110万円を払う必要があります。
しかし、作中では度々たったの10日間で110万円もよういできないという人が出てきます。

そんな人達のための救済処置が「ジャンプ」と呼ばれる利息分だけを支払う仕組みです。
銀次郎にとっては10日分の利息だけを支払ってもらえたほうがトータルで儲かり、得なのでジャンプ続きの客のことを「上客」と呼んでいます。

「利子の2万を引いて…」に隠された罠

1話の歓楽街でヤクザに取り立てられているサラリーマンが銀次郎に金を貸し付けられているシーンにてこんな場面がありました。

一見何もおかしなところはないのですが、これは立派な詐欺ですw
上記の例100万円を借りたとき、普通であれば利息10万円で仮に10日で返済が完済する場合トータル110万円を支払えば問題はありません。

しかし、銀次郎は貸すとき(0日目)に利息分を引いています。

つまり、金を借りた側はトータル90万円しかもらっていないのにも関わらず借用証書には「100万円を借りた」と記載されてしまうわけです。

もちろん90万円であれば10日ごとに支払うべき利息も9万円で済むはずですが、10万円を銀次郎に取られるということは1万円の儲けをさらに銀次郎は出しています。

詳しくはこちらのサイトもご覧ください。
参考 お金をだまし取られる利息の先引きに注意借入のすべて

ヤクザでも怖いこと

銀次郎に取り立てられた徳永が4万円を支払うことができず、金の代わりに携帯電話を渡したことで始まった今回のストーリー。
もちろん500万円の損失なんてありませんがそこはなんとでも言えてしまうのが銀次郎。

500万円なんていきなり支払えるわけもなくゴネる徳永は賭博場を運営しているヤクザを呼び出します。

そしてヤクザに詰められる銀次郎。
そいつに殺されるか?というところで法律のこともしっかり分かっている銀次郎はヤクザに刑務所に入ることと折半して250万円を受け取ることとのどちらが得かを諭しました。

しかしヤクザ自身のメンツもあるため、おいそれと引かない。そんなときに銀次郎が一言

『罪もないカタギを殺るんじゃ、15年は固いでぇッ!しかも今までのように出入りで相手の組員を叩き切ったのとはわけが違う!組の役に立たんことで勝手にムショ入りするんや』

対立している組員を殺すのであればそれは組の中で功績として扱われますが、どの組にも属さないカタギ(一般市民)の銀次郎を殺すとなると15年以上刑務所にいる羽目になるぞと法律を用いてヤクザを逆に脅したわけです。

殺人罪とは

人を殺めれば法律によって裁かれることは小学生でも分かることです。
刑法199条(殺人罪)によると

人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

と記載されています。
刑期は殺人を犯した人のケースによって、裁判官によって異なります。

しかし、実際ヤクザが罪もない一般人を殺したケースでは13~15年の刑務所にいるケースがあります。

抵当とは?

ヤクザとの取引が終わった銀次郎はうようやく徳永に再び取り立てを始めます。

銀次郎は500万円を回収するために徳永に家や工場の備品の機械を売ってでも金を作れと言います。
しかし徳永は「土地・工場・機械全部抵当に入っている」と。

「抵当に入る」とはどういう意味なのでしょうか?

抵当(抵当権)とは金融機関からお金を借りるときに銀行側がお金をとりっぱぐれることが無いようにあらかじめ取っておく担保のことです。
仮に借金の返済が滞った場合、債権者(お金を貸している側)は押さえてある抵当を競売にかけることができます(抵当権の行使)。

この「競売」とは裁判所を通して抵当に当たっているものを強制的に売買にだす行為のことです。

法律上は抵当のついたモノを他人に売却すること自体には何の問題もありません。
しかし抵当のついているものを購入した後に債務者(お金を借りている人)の借金の返済が滞った場合、債権者は抵当権の行使をすることができるため勝手に売られてしまいます。

そもそも自分のでもないものにいつまでも借金の返済という形でお金を支払う人が果たしているでしょうか。
どう考えても途中で支払いが滞る未来しかないですよね…。
そのため、基本的には抵当を綺麗にしてから他社に売買します。

「負債も財産のうち」

家・土地・機械全てに抵当がついていることを打ち明けた徳永に銀次郎が次に持ち掛けたのは一流企業に勤めている夫を持つ娘のところに取り立てに行くというもの。

いくら不仲であっても自分の子どもは守りたいのが親であると考えてこのような行動にでようとしたのでしょう。

しかし、実はここにはちょっとだけ銀次郎が仕掛けた言葉巧みな罠があります。

子どもに負債を相続する義務はない…?

実は法律上、親の借金を子どもが肩代わりをする必要は全くありません。
違法な会社でない場合は貸金業法という法律でそのことが決められています(銀次郎の場合は違法ギリギリだけど…)。

借金は債権者と債務者及び保証人間のみでの取引です。そのため、保証人に子どもがなっていない場合に限っては子どもが親の借金を肩代わりする必要は全くありません。

しかし、親が亡くなり親の財産を引き継ぐ場合は負債も財産として扱われてしまうため親に代わって子どもが負債の返済を行わなければいけません。。

B預金とは?

娘のところへ取り立ててくれと言われた銀次郎。
そんな徳永に腹がたった銀次郎はなんとしてでも徳永から金を取り立てようとします。

それもそのはず。銀次郎の個人的な感情論まりますが、それ以上に証文(金の貸し借りの証書)もないのに娘の夫のもとに行き、金を払えと騒ぐことは違法だからです。まぁそもそも銀次郎がやっていることは詐欺なんですけどね…

そんな銀次郎が目を付けたのが徳永の「ケチ」という性格。
ケチならばどこかに隠し財産を持っているのではないかと考えました。

そこで出てきたのがB預金です。

B預金とは簡単に言うと隠し財産のことです。
まず、普通に銀行に個人名義で預けている表の預金のことをA預金と呼びます。それに対して脱税目的や会社の売り上げを自分の懐に直接入れるために名義を変えて取っておく預金のことをB預金と呼びます。

もちろんこれもばれればれっきとした犯罪です。

明細書から分かってしまうこと

徳永の隠し財産を探すべくB預金のありかを探る銀次郎。
その手掛かりとして銀行が発行した明細書を利用しました。

明細書とは取引があったときにそれがどんな内容なのかを銀行と個人間での齟齬をなくすために発行しているいわばレシートのようなものです。

そこにはもちろん取引があった銀行名と店番号が記載されています。
A預金と同じ銀行・同じ支店で一人の人間が二つの口座を保有していたら怪しまれること間違いないですよね?

そのため銀次郎達はA預金とは異なる銀行で取引をしている明細書を探していました。

さいごに

この物語の結末はご自分で読んでみてください。
以上の点を踏まえて読んでいただけるときっとより内容が面白くなるかと思います。

あなたの役に少しでもたつことができたのであれば満足です。
ではまた。

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