戯曲1 第3回

第3回

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戯曲1 第2回

 

おしゃべりをしながら赤羽、馬場、千倉の三人が入場。

三人はこのプールで行われているマタニティースイミングに通う妊婦である。

 

馬場         「ちょっとまたお二人に相談したいことあるんで、このあとサイゼいきません?」

千倉         「いいけどー今行ってもどうせドリンクバー頼んでも炭酸水かオレンジジュースしか飲めないでしょー?」

赤羽         「わっかる。カフェインくれええカフェインがほしいいよおおう」

馬場         「てか、おふたりインフルの予防接種受けました?私おじいさんにワクチン奪い取られる夢みたんですよこないだ」

赤羽千倉 「なにそれー」

 

三人笑いながら退場。

 

海堂         「あの三人だよな」

大倉         「あの三人です」

 

三人再び入場。

 

赤羽         「こないだ電車で、立ってたんですけど、ふと見たら前で座ってるやつら全員寝たふりしてんの。まじふざけんなよって感じでした別にこっちも頼んでねえし」

千倉         「あーそれわかるなあ。…てかへそ消えたわ」

馬場         「トイレっていきめなくないですかなんか怖くて。私トイレで子供産んで気づかずにそのまま流しちゃったんですよ、夢で」

赤羽千倉 「なにそれかわいそー!」

 

三人笑いながら再び退場。

 

海堂         「今日のメンツだよな?」

大倉         「そっす」

海堂         「割れた割れない以前の心配を感じるな」

 

三人三たび登場。

 

千倉         「ポテチくいてええええええ」

海堂         「大丈夫かなあ!」

 

三人動きを止める。

 

妊婦たち 「はい?」

海堂         「あ、ちょっといいですか」

 

間。

 

千倉         「ポテチ…」

海堂         「いやいや」

馬場         「…あ、夢ですよもちろん」

海堂         「いやそうじゃなくて」

赤羽         「…なんでしょうか」

海堂         「(身振りで示しつつ)皆さんが今日の…ね?…そうですよね?」

千倉         「…そうですけど?」

海堂         「プール…ね?(水が割れる仕草)ね?」

赤羽         「あ…そうそうすごいですねあれ!」

 

妊婦ら笑いあう。

沈黙

 

海堂         「え終わり?それだけ?」

馬場         「まだなにか?」

海堂         「まだなにかって…まだなにも解決されてないでしょう」

赤羽         「そうなんですか?」

海堂         「そうなんですよ」

千倉         「そうめんですか?」

海堂         「そうめんですよ」

 

間。

 

大倉         「ソープランドですか?」

赤羽         「ソンツェンガンポですか?」

千倉         「相対性理論ですか?」

赤羽         「特殊ですか?一般ですか?」

大倉         「学生でお願いします!」

千倉         「では学生証の提示をお願いします」

大倉         「学生の方ー?」

 

馬場を除く一同ぞろぞろと手を挙げ、馬場もつられて手を挙げる。

海堂、馬場に対して、

 

海堂         「学生なんですか?」

馬場         「あっ、あのすいません、どういうことですか?」

赤羽         「たまになるんですよね?」

海堂         「え?」

赤羽         「プール。たまになるんですよねあんな風に?」

海堂         「なりませんよ?もちろん。どうしてですか?」

 

妊婦ら大倉の方を向く。

 

海堂         「言ったのか?」

大倉         「言ってません」

 

間。

 

大倉         「言いました」

海堂         「(訝しんで)お前…?」

大倉         「脅かさないほうがいいかと思ったんですよ。ほらあ、お腹の中の子に対しても。よくないんですよお母さんが動揺したりするの。さっきもテレビで言ってたじゃないですかお母さんの考えが胎児にも影響するんだって」

馬場         「え…違うんですか?」

海堂         「違いますよ、割れませんよプールは、普通」

千倉         「いやだって…じゃあなんで?」

大倉         「こっちが聞きたいっすよ!(全員から白い目で見られ、冗談でごまかすように)誰かのお腹の中にモーゼでもいるんじゃないすかあ?」

海堂         「なんだそれ」

大倉         「えモーゼですよ?」

千倉         「あたしも知らなーい」

赤羽         「あたしも」

大倉         「あんまり有名じゃないのかな」

馬場         「私知ってます!海、割った人ですよね、ずひゃーって」

海堂         「海をですか!?すんごいな!ほんとに!?」

大倉         「ほんとです」

馬場         「え?」

大倉         「うそです」

馬場         「(大倉を睨んでから海堂を見て)ほんとなわけないじゃないですか、言い伝えですよ」

海堂         「うそか!」

大倉         「いや…そもそも僕だって本気では言ってませんよ」

千倉         「じゃあやっぱり構造の問題ですか?」

海堂         「いやそれはありえません」

赤羽         「ありえないんですか?」

海堂         「ありえません。断面から察するに…(なんか専門的なことをつらつらと言う)」

馬場         「…すごいですね」

大倉         「館長、もしかして…」

 

間。

 

大倉         「…理系ですか?」

海堂         「…理系なんだ」

大倉         「館長…」

海堂         「お前…」

 

二人、熱く抱き合う。

(続く)

 

劇団あはひの情報はこちらから。

また主宰の大塚健太郎さんから、「あはひ」主催のワークショップのお知らせが届いています!
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この度、第2回ワークショップの開催が決定しました。
テーマは「身体と意識」。身体の感覚と意識について、互いにどの程度関わり合っているのかを、一緒に考えていけたらと思っています。
オーディションではないので、どなたでもお気軽にご参加ください。

詳細、参加のご予約は上記リンク(「あはひ」のTwitterに飛びます)をご覧ください。

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大塚健太郎

大塚健太郎

98年生まれ。神奈川県出身。 早稲田大学文学部演劇映像 コース映像系所属。 劇団あはひ主宰。 劇団の公演にて作・演出を務めるほか、演出助手として宮沢章夫演出『新訳 ゴドーを待ちながら』リーディング公演(2017)、ジエン社『物の所有を学ぶ庭』(2018)に参加。
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大塚健太郎

98年生まれ。神奈川県出身。 早稲田大学文学部演劇映像 コース映像系所属。 劇団あはひ主宰。 劇団の公演にて作・演出を務めるほか、演出助手として宮沢章夫演出『新訳 ゴドーを待ちながら』リーディング公演(2017)、ジエン社『物の所有を学ぶ庭』(2018)に参加。

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