戯曲1 第2回
第2回
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海堂 「大倉、お前がこのプールを守ってくれてたとは思いもよらなかった。お前の話を聞こう」
大倉 「プールが割れました」
海堂 「いや…は?」
海堂のケータイが鳴る。
海堂 「あ、局の方だ。(電話に出て)あ、もしもしい。はい、ええ、はい、そうですはい。ええ、ええ、ええ、ええ、えっ、えっ、えっ、えっ、ええ。あ、そうですか。了承いたしましたあはい、はいはいはい、ええ、ええ、ええ、ええ、はい、はい。あ、プールの方はさきほどリハーサルしていただいた状態のままにしておりますはい。はい、はい、はい、ええ。あ、妊婦たちですね、はい、アップを?あ、はい、今、させております。ええ。はい。15分後。かしこまりました、いらっしゃる頃には準備万端整っていると存じますので、ええ、ええ、ええ、ええ、はあい、お待ちしておりますう。はい、キタジマさんの方にもよろしくお伝えください、はい、はい、はーい。失礼いたしますお待ちしておりますーはーい、はーい、はい、はい、はい…」
海堂、電話を切る。
海堂 「あと15分で着くってさ。で?」
大倉 「プールが…」
海堂 「待て、大倉。プールは…割れないぞ」
大倉 「割れませんよ!でも割れてんすよ!(体で表して)ぷひゃーって」
海堂 「わけがわからん」
大倉、海堂を引っ張っていき、プールを見せる。
二人、元の場所に戻ってくる。
海堂 「えどゆこと?」
大倉 「…」
海堂 「(混乱して踊るように身をよじり、やめて)えどゆこと!?」
大倉 「俺だって知りたいっすよ!いつも通りママさんたちにアップしてもらって、お三方がプールに入られたところで突然プールの水がずひゃー」
海堂 「さっきぷひゃーじゃなかった?」
大倉 「ずひゃーですよ!ずひゃーって割れたんですよ!」
海堂 「ぷひゃーだった気がすんだけどな」
大倉 「見たでしょ?真っ二つですよ。プールの水が真っ二つに…」
海堂 「ほんとにさっきもずひゃーだった?」
大倉 「館長、それどっちでもよくないすか」
海堂 「どっちでもいいかもしれないな」
大倉 「どっちでもよくないこともありますよ」
海堂 「(激しく興味を示し)おお、なんだ教えてくれ」
大倉 「(横断幕を指差して)15分後、このプールにキタジマコウスケが、きます。」
海堂 「(絶叫)」
(続く……)
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大塚健太郎

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