コンドームのコペルニクス的転回にむけて

 

―エッチはしたいけど子だくさんにはなりたくないという時代になっているのだなと想像したのです。そこで、私は閃きました。

 (野崎幸助『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』、講談社、2016年)

 

コンドームが買える場所と言われて最初に思いつくのはこのご時世、やはりコンビニだろうか。もしくは薬局、あるいはドンキホーテか。このコンドーム、コンビニのどこのコーナーに売られているか思い返すと、ほぼ100%薬品系のコーナーに置かれている。

 

https://www.okamoto-inc.jpより

 

 

―ではコンドームは医療用具なのか。

 

アプローチを変えてみる。このゴムの用途とはなによりも避妊具としてであろう。もしくは感染症の予防。この部分は特に女性にとってナイーブな点だ。

 

―ではコンドームは医療用具なのか。

 

 

 

絶対にそんなことはない。

 

 

コンドームはお互いが安全にセックスを楽しむために必要な最低限のマナー、エチケットである。しかし深い覚悟を伴わないセックスの時ほど、ピンとこない感染症のためや妊娠しないだろうという希望的観測でゴムを使わない人は多いのではないだろうか。

 

なぜならどうしようもないほど“生”の方が気持ち良いから。

 

これが揺るぎない事実だし、越えられない絶対の壁だろう。だからこそコンドーム製造は常にこの壁に挑み続けている。

 

紀州のドンファンと呼ばれ数か月前に話題になった野崎幸助氏はコンドームの販売で富豪の階段を上り始めた。肥溜めに落ちている大量のコンドームを見て、高度経済成長期の日本人は「エッチはしたいけれど子だくさんにはなりたくない」のだと見抜き薬屋のゴムをかき集め実演販売などをして大儲けをしたそうだ。

日本におけるコンドーム黎明期の話だが、要はコンドームはいつだって〈何かを避けるために仕方なく使うもの〉のような認識が我々にはある。それはおそらく衛生的にも医療的にも一定レベルで不足のない国であればあるほどだ。

 

 

 

ある石鹸メーカーの営業がアフリカの集落に石鹸を配り歩いたそうだ。するとそこの感染症は一気に減り衛生レベルがぐんと上がったという。

同じような話で、あるコンドームメーカーは同じような環境の場所でコンドームを配ったそうだ。言うまでもなく性感染症を防がせるために。しかし現地の人々はまず使い方がわからなかった。水風船にして遊んでいたらしい。使用法を教えても流行りはしなかった。彼等にとってそれは、快楽が減少するややこしい邪魔なものでしかなかったからだ。

つまり、道具というのは十分な知識を伴わなくてはならない。

 

しかし我々の場合はそうではない。使い方も必要性も学校で習ったはずだ(個人的に今の性教育には言いたいことが尽きないが)。しかしそれでもコンドームにどこかマイナスなイメージが付きまとうのは先述した〈何かを避けるために仕方なく使うもの〉のような認識が我々にあるからだろう。

 

“避”妊具と言ってしまっているわけだが、私はコンドームを〈お互い安心してセックスを楽しむための素晴らしい道具〉だと考える。

 

このサイトがU22を中心にしているならば、若者のセックスには特にこの考えは必要だと思う。セックスは気持ちの良いものだし、相手をこれ以上にないほど愛することのできる素敵なコミュニケーションだ。楽しいものならば危険はついてこない方がいいに決まってる。

また、これはコンドームのパッケージやカテゴライズのせいだが拭い切れない「医療用具感」がある。もっととっつきやすいモノであってもいいと思う。

 

これはTwitterで見つけた、台湾の学生が考えたフルーツを模したコンドームである。コンドーム業界、薄さも大事だがデザインに関しては伸びしろしかない。あんな冷たいデザインでなくてもっと可愛いデザインのものがあると楽しい。

 

武富健治がその原作を務めるドラマ『鈴木先生』で中学校教師の鈴木先生が彼女と生でシたことを生徒に咎められる話がある。彼は、自分はセックスをするなら生でないとしない。しかし一生を共にしたいと本気で思った相手としかしないと発言し生徒を納得させた。性教育がテーマの話だが、彼の思想はかなり偏っておりなかなか真似のできるものではない。このように性生活は特に個人の価値観が表れる。だからこそ、二間の距離が極めて近くなる行為にこそ相手を尊重するマナーが必要である。

 

コンドームを普及させたドン・ファンが4000人余りの女性を抱いたというのも実に頷ける話だ。

 

『紀州のドンファン 美女400人に3000億円を貢いだ男』の書評はこちらから↓↓↓

『紀州のドン・ファン~美女4000人に30億円を貢いだ男』 前編

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斉藤 俊輔

斉藤 俊輔

早稲田大学文化構想学部3年生。ジェンダーやエロティシズムからメディア、応用倫理学について勉強中。関心の対象にヒーロー、TVバラエティ、ラジオ、漫画、アダルト(グッズ、AV)など。2015年に第8回田辺聖子文学館ジュニア文学賞エッセイの部-高校部門にて最優秀賞を受賞。 早稲田大学金曜日研究会 幹事長
斉藤 俊輔

斉藤 俊輔

早稲田大学文化構想学部3年生。ジェンダーやエロティシズムからメディア、応用倫理学について勉強中。関心の対象にヒーロー、TVバラエティ、ラジオ、漫画、アダルト(グッズ、AV)など。2015年に第8回田辺聖子文学館ジュニア文学賞エッセイの部-高校部門にて最優秀賞を受賞。 早稲田大学金曜日研究会 幹事長

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